使わない理由がない?電子契約書のメリット
IOT、クラウド、AI・・・
どんどん時代は進化しています。
その流れの一つがペーパーレス、電子化です。僕も今ではほとんど本は電子書籍で読んでいますし、新聞も電子版を事務所で購入し、各自に支給しているiPhoneで読めるようにしています。
そんな電子化の中で、これから置き換わっていくであろう電子契約書についてメリットをまとめてみました。
電子契約書とは
そもそも電子契約とは、電子文書を互いにインターネット上のサービスを用いて契約を締結するもので、企業のサーバーや外部のデータセンターなどに電子データを保管しておく契約の方法のことです。
これまで契約といえば「紙と印鑑」によるものでしたが、電子契約による契約締結も法的環境の整備や技術の向上によって着実に広まってきています。
電子契約には下記のようなメリットがあります。
経費削減できる
契約書に収入印紙を貼らなければならない文書であるかどうかは、印紙税法第二条において印紙税の対象となる課税文書が定義されており、国税庁のホームページにも記載されています。(国税庁のHP:印紙税額一覧表)
そして印紙の金額は契約の種類だけでなく、契約される金額によって200円~60万円まで変わります。
例えば建設業の場合には工事請負契約書、工事注文請書は契約金額に応じて200円~60万円の印紙代がかかります。また、当該建設業の現場から出た廃棄物の運搬を委託する場合には、運送に関する契約書として200円~60万円、処分を委託する場合には請負契約書として200円~60万円のうち、それぞれの契約金額に応じた印紙を貼らねばなりません。
ただし、産業廃棄物処理委託契約書が、営業者間で継続的に生ずる取引の基本となる契約書で、契約期間が3ヶ月を超えている、または、契約期間が自動更新される場合は、継続的取引の基本となる契約書にも該当し、4,000円の印紙を貼ることになります。
これらの印紙代は電子契約書にすることで不要になります。
また、紙の契約書のやり取りの場合、メール等で内容を相互に確認後、印刷、製本し、郵送でやり取りをするのが一般的だと思いますが、電子契約書の場合には印刷、製本、郵送が不要ですのでこれらの経費もカットできます。
管理しやすい
建設業や産業廃棄物業務などでは、契約書の保管が法律で義務化されています。しかし、紙の契約書の場合には量もたまりますし、場合によっては保管のために事務所などを借りるような場合もあります。
この点に関して電子契約書ではクラウドなどにデータを保管するため、紛失するリスクもなく、過去の書類を確認する必要があるときには、検索機能を利用して書類の名前などで簡単かつ迅速に検索することもできます。
また郵送にかかる時間の短縮もできますので契約締結までがスピードアップされる他、業務効率化にもつながります。
コンプライアンスを強化できる
書面での契約書をの場合、契約締結の改ざんや紛失などのリスクがあります。
特に大量の契約書を締結するような建設業や産廃業の場合には契約書の管理も非常に大変です。。
一方で電子契約の場合には契約書を電子データとして一元管理することで、紛失リスクを回避し、改ざんなどの恐れも少なくすることができます。
業種によっては契約書の保管義務違反について罰則もありますので、電子契約書によって適正に管理できることは大きなメリットになります。
特に排出事業者責任がかかるような産業廃棄物に関する契約書ではコンプライアンスの見地から電子契約書を導入するメリットは大きいと思います。
まとめ
電子契約書は上記のように印紙税がかからないだけでなく、保存コスト、用紙代や印刷、郵送にかかるコストもカットでき、契約締結にかかる時間も短縮できます。
また、データの管理も容易になりますので業務が効率化して生産性を向上させることもできますし、法令遵守にも役立ちます。
今後一般的になっていくのは間違いないので早めに導入を検討してみてはいかがでしょうか?
ちなみに弊社では産業廃棄物処理業や建設業に特化した形で電子契約書サービスも扱っておりますので、ご興味のある方は下記フォームからお気軽にご相談下さいませ。
産業廃棄物収集運搬業の契約書を適正に作れていますか?
この記事は産業廃棄物の排出事業者、そして産業廃棄物収集運搬業や産業廃棄物中間処分業などの処理業を営んでいる方向けの記事です。
産業廃棄物の処理について作成する義務がある委託契約書ですが、作成だけでなく5年間の保管の義務もあります。
ではこの委託契約書、何通作成すればいいのでしょうか?
委託契約書が必要な根拠について
廃棄物処理法は、「事業者は、その事業活動に伴って生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならない」と規定し、廃棄物を排出する側の処理責任を明確にしています(法第3条第1項)。これは排出事業者責任と呼ばれ、廃棄物処理の重要な原則になっています。
廃棄物の処理をする側だけでなく、廃棄物を出す側にも責任を持たせることで、適正な処理を推進し、より良い環境を構成に残していこうという趣旨ですね。
ただ、自らの責任で適性に処理するといっても、自分で中間処分や最終処分するのは難しいでしょうから、処理業者に産業廃棄物の処理を委託し、排出事業者と処理業者の間で適正な委託契約を結ぶ事が必要になります。
委託基準とは
適正な委託契約を結ぶためには、法で定める委託基準に従うことが必要とされており、具体的には下記を満たすことが求められています。
- 処理を委託する相手は処理業の許可を有する(または規則第8条の2の8及び第8条の3に定める)者であること。(令第6条の2第1号、第2号)
- 委託する業者は、委託しようとする産業廃棄物の処理が事業の範囲に含まれていること。(令第6条の2第1号、第2号)
- 委託契約は書面で行うこと。(令第6条の2第4号)
- 特別管理産業廃棄物の処理を委託する場合は、委託する者に対してあらかじめ特別管理産業廃棄物の種類、数量、性状、荷姿、取り扱い上の注意事項を書面で通知すること。(令第6条の6第1号、規則第8条の16第1号、第2号)
- 契約書及び契約書に添付された書類を契約終了日から5年間保存すること。(令第6条の2第5号、規則第8条の4の3)
- 収集運搬の委託は収集運搬業の許可を持つものと、中間処理(再生を含む)または最終処分の委託は処分業の許可を持つものと、それぞれ2者間で契約すること。(法第12条第5項)
委託契約の内容とは
契約内容を明確にするため、委託契約は書面で行うことが義務付けられています。(※電子契約書も可能)
書面への記載が必要な事項は以下のようになります。(令第6条の2第4号および規則第8条の4の2)この法定記載事項が欠如している場合や実際に委託された内容と異なる場合には、委託基準違反として罰則が適用されます。
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契約書の共通記載事項
- 委託する(特別管理)産業廃棄物の種類および数量
- 委託契約の有効期間
- 委託者が受託者に支払う料金
- 受託者の事業の範囲
- 委託者の有する適正処理のために必要な事項に関する情報
- (ア)性状および荷姿
- (イ)通常の保管状況の下での腐敗、揮発等性状の変化に関する事項
- (ウ)他の廃棄物の混合等により生ずる支障に関する事項
- (エ)日本工業規格C0950号に規定する含有マークの表示に関する事項
- (オ)石綿含有産業廃棄物が含まれる場合には、その事項
- (カ)特定産業廃棄物が含まれる場合には、その事項(放射性物質汚染対処特措法施行規則附則第5条)
- (キ)その他、取り扱いに関する注意事項
- 委託契約の有効期間中に前項の情報に変更があった場合の伝達方法に関する事項
- 委託業務終了時の受託者の委託者への報告に関する事項
- 契約解除時の処理されない(特別管理)産業廃棄物の取り扱いに関する事項
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運搬委託契約書の記載事項
- 運搬の最終目的地の所在地
- (積替保管をする場合には)積替えまたは保管の場所の所在地、保管できる産業廃棄物の種類、保管上限に関する事項
- (安定型産業廃棄物の場合には)積替えまたは保管の場所において、他の廃棄物と混合することの許否等に関する事項
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処分委託契約書の記載事項
- 処分または再生の場所の所在地、処分または再生の方法および処理能力
- 最終処分の場所の所在地、最終処分の方法および処理能力
契約書は1通作成でもいいのか?
通常、契約書は当事者同士が相手方に対して成立した契約の内容を証明するために作りますので、各契約当事者が1通ずつ所持します。
その場合にはそれぞれについて印紙を貼ることになりますが、ではこの場合、1通のみを正本として保管し、そのコピーを相手方が保管することで、コピーには印紙を貼らないということは可能なのでしょうか?
国税庁のHPには下記のように書かれています。
契約書は、契約の当事者がそれぞれ相手方当事者などに対して成立した契約の内容を証明するために作られますから、各契約当事者が1通ずつ所持するのが一般的です。この場合、契約当事者の一方が所持するものに正本又は原本と表示し、他方が所持するものに写し、副本、謄本などと表示することがあります。しかし、写し、副本、謄本などと表示された文書であっても、おおむね次のような形態のものは、契約の成立を証明する目的で作成されたことが文書上明らかですから、印紙税の課税対象になります。
- (1) 契約当事者の双方又は文書の所持者以外の一方の署名又は押印があるもの
- (2) 正本などと相違ないこと、又は写し、副本、謄本等であることなどの契約当事者の証明のあるもの
なお、所持する文書に自分だけの印鑑を押したものは、契約の相手方当事者に対して証明の用をなさないものですから、課税対象とはなりません。
また、契約書の正本を複写機でコピーしただけのもので、上記のような署名若しくは押印又は証明のないものは、単なる写しにすぎませんから、課税対象とはなりません。
同じく、ファックスや電子メール等により送信する場合も正本等は送付元に保存され、送付先に交付されておらず、送付先で出力された文書は写しと同様であり、課税対象とはなりません。
このように、印紙税は、契約の成立を証明する目的で作成された文書を課税対象とするものですから、一つの契約について2通以上の文書が作成された場合であっても、その全部の文書がそれぞれ契約の成立を証明する目的で作成されたものであれば、すべて印紙税の課税対象となります。
このように、契約書のコピーを保存するのは、「契約の成立を証明する目的」といえますから、コピーであっても印紙の課税対象であるといえます。
ですので、1通しか正本を作成していない事自体は可能ですが、契約の成立を証明する目的で保管しているコピーは印紙税の対象になり、当該に印紙の添付がない場合には、印紙税の脱税になってしまうのです。
このように契約書については印紙税の問題もありますし、内容に不備があると委託基準違反に該当してしまう可能性もありますので注意が必要です。
より詳しく知りたい方は下記の書籍もチェックしてみてくださいね。
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