2006年の会社法改正により、資本金の要件が無くなったことにより1円で会社設立ができるようになりました。
近年、若い世代を中心に独立や開業をする人が増えています。新設法人の数は年々増えており、会社を作ることが身近になってきました。
特に会社設立支援サービスが充実し、低価格になったことで、知識がない人でも簡単に会社手続きを行えるようになりました。一方で、会社設立を専門家に依頼するメリットもあります。
- 一人で会社手続きはできる
- 設立にかかる費用は約25万円
- 会社設立は士業によるサポートが必要な場合もある
今回は、一人で会社を作る手順について解説します。個人事業主の法人成りや独立・開業を検討している方は、ぜひ最後までご覧ください。

GOALグループは、行政書士法人と社会保険労務士法人を含む総合士業グループです。
会社設立・許認可・労務等の起業手続きをトータルでサポートします。
会社設立に関する無料相談を承っております。お気軽にお問い合わせください。
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一人で会社を作る手順
会社(法人)には、いくつかの形態があります。
一人でも会社設立を行えるのは、株式会社・合名会社・合同会社の3種類です。その他の会社形態では、複数の発起人が必要であったり、その他の要件が求められます。
- 会社設立の準備をする
- 定款の作成
- 資本金の払い込み
- 登記申請
- 登記申請後の手続き
今回は、新規で株式会社を設立するケースを想定した手順をご紹介します。
会社設立の準備をする
会社を設立する前に必要事項の整理をしましょう。会社名の決定や資本金の額など重要な決定事項が多くあります。
例えば、事業を行う上で、業種によっては許認可が必要となることもあります。許認可の要件を満たしていないと事業が行えなくなります。
会社の全体計画を作成して「どんな会社を作っていくのか」「いくらの目標にするのか」といった具体的な計画を立てることが大切です。
具体的な必要事項は下記のとおりです。
- 業種の決定
- 商号の決定
- 法人用印鑑の作成
- 資本金額の決定と用意
- オフィスの契約
それぞれ詳しく見ていきましょう。
業種の決定
会社として事業を行っていきたい業種を決定します。
業種によっては、資格や許認可が必要となります。業種を決める際には、必要な資格や許認可の要件と手続きについても確認しておきましょう。
例えば、許認可は要件が複雑です。自身が要件を満たしているか分かりにくいでしょう。煩雑な許認可手続きは、行政書士が専門的にサポートしてくれます。その際、会社設立の手続きも同時にサポートすることが一般的です。
商号の決定
商号とは会社名のことを指します。基本的に会社名は好きに決めることができます。しかし、商業登記規則に使用できない符号等が記載されていたり、商標権の侵害や他の法律との兼ね合いで使用できなことがあるので注意が必要です。
商号決定の際に注意しておきたいポイントをご紹介します。
- 会社形態に応じた表記(株式会社等)を必ず入れる
- 感嘆符の使用はできない
- 同じ住所に同じ名前の会社は設立できない
法人用印鑑の作成
会社設立時に法人用の印鑑が必要となります。設立後の実務においても、契約時に押印する機会があるため、設立時に用意しておきましょう。
会社代表印・社判・銀行印の3種類が必要です。会社用の印鑑を購入する際には、3種類まとめて購入することが一般的です。
資本金額の決定と用意
資本金とは、会社に出資された金額です。
会社の状況によって最適な資本金は異なります。資本金が多いと金融機関等の外部からの信頼性が高まります。しかし、一定額を超えると税負担が増えるといったデメリットもあります。
一般的には、設立時の資本金は100万円から300万円程度にするのがよいでしょう。
また、必要な許認可によっては、最低資本金額が定められています。例えば、人材派遣である有料職業紹介業は500万円以上の資本金が必要です。
設立時に、必要な現金となるため事前に用意しておきましょう。
オフィスの契約
会社の住所である本店所在地も用意しましょう。自宅やレンタルオフィス・バーチャルオフィスといった幅広い選択肢があります。
月々の賃料や事業内容に合わせて最適なオフィスを契約しておきましょう。なお、会社設立前に、法人名義でオフィスの契約はできません。そのため、前もって個人名義で契約をするのが一般的です。
また、代表取締役の住所は登記簿に一般公開されているためプライバシーの点で問題がありました。
しかし、2024年10月より代表取締役の住所の一部を省略できるようになっています。
定款の作成
定款とは会社の基本的なルールを記載したものです。会社設立時に作成することが必要です。
商号や事業目的など記載すべき事項が法律に定められています。他にも、株式総数や決算月など重要な事項があります。
作成した定款は、公証役場で認証を受けなければなりません。認証を受けることで正当な手続きを元に作成された定款であることが証明されます。
知識のない方が必要書類をまとめて手続きをするのは難しいでしょう。会社設立支援サービスや士業に依頼して手続きをすることが一般的です。
資本金の払い込み
資本金は定款作成日よりも前に払い込む必要があります。払込証明書は、登記申請の添付書類として使用します。
払込先の口座は、発起人の銀行口座です。法人口座は、会社設立前に作成することはできません。そのため、個人で利用している口座へ振り込みます。通帳のコピーをもって振り込んだことを証明します。
口座に資本金額以上の預金があったとしても、発起人名義で改めて振り込む必要があるので注意しましょう。
登記申請

必要書類を全て整えた後は、法務局へ申請する登記申請書類を作成します。登記申請は、手続きが難しく専門家である司法書士に依頼するのが一般的です。
また、法務局に事前予約することで、登記手続きの相談ができます。予約することなく法務局に行っても、手続きについて教えてもらえないため注意しましょう。
最近では、会社設立支援ツールを使うことで、簡単に登記申請書類を作成できるようになりました。作成した登記申請書類を持って法務局に申請をすることで約1週間ほどで登記が完了します。
登記申請後の手続き
登記申請が完了することで株式会社として新たな会社が誕生したことになります。会社の事業を続けていく上で、必須の手続きについてご紹介します。
- 法人口座の開設
- 社会保険の手続き
- 税理士の契約
会社設立後に調べて用意するのも良いですが、設立時にある程度リサーチしておくと、その後の手続きがスムーズに進むでしょう。
法人口座の開設
個人の口座でも法人の取引をすることはできますが、管理をする上で煩雑になるため会社名義の法人口座を開設しておきましょう。
設立したばかりで実績のない法人は、新たに口座開設することは難しいことがあります。例えば、メガバンクの法人口座は、ある程度の実績や会社の規模が必要です。
そのため、初めて法人口座を開設する際は、ネット銀行を利用するケースが多いです。
ネット銀行の中では、GMOあおぞらネット銀行が利用しやすいでしょう。freee会社設立とGMOあおぞらネット銀行が連携し、「設立前口座開設申込」機能が新たにリリースされました。
これにより、freeeで会社設立の手続きをしている間に、登記完了前であっても口座の申し込みができます。登記が完了した後は、最短で当日に口座が使えます。
社会保険の手続き
会社を設立すると基本的に社会保険に加入することになります。従業員の有無や役員報酬の額によって、必要な手続きが異なります。
税務上における有利な手続きがあることや未加入時における罰則を考えると、制度を正確に理解した上で手続きをしなければなりません。
自身で手続きをすることもできますが、社会保険の専門家である社会保険労務士に相談する方も多くいます。
税理士の契約
会社の税務手続きにおいて税理士は必須の存在です。
会社の会計処理は、個人事業主で必要とされる確定申告よりも複雑で専門の知識が求められます。会計や税務の知識がない方は、税理士に依頼しましょう。
最近では、税理士の顧問契約を前提として会社設立手続きを無料でサポートすることもあります。一般的には、会社設立後に税理士を探し始めても問題ありません。
一人で会社を作る際にかかる費用は約25万円
一人で会社を作る際にかかる費用は約25万円。この費用は、法律で定められた必須の費用と資本金の額によって変動する費用が含まれています。
また、オフィスの規模や法人印へのこだわりなどによって、会社設立時の初期費用の総額は変わります。
今回は、必須の費用とそれ以外の任意で決まる費用について分けて解説していきます。
法定費用
法定費用は、法務局や公証役場に必ず支払わなければならない費用です。具体的には下記の項目があります。
項目 | 費用 | ポイント |
---|---|---|
定款認証手数料 | 3万円~5万円 | 資本金の額によって変動します。 |
収入印紙代 | 4万円 | 電子定款の場合は不要 |
定款の原本証明 | 約2千円 | 1ページにつき250円 |
登録免許税 | 15万円 | 資本金の額に0.7%を掛けた金額と、最低額の15万円のうち、高い方を適用 |
例えば、資本金100万円の株式会社を設立する場合で考えると23万2千円がかかります。
法定費用を抑えるポイントは、資本金を低く設定することです。資本金が低い方が定款認証手数料と登録免許税が低くなります。
また、電子定款を利用すると、4万円の収入印紙代が不要となります。
なお、電子定款は、特別なシステムが必要なため、個人で作成することは難しいのが現実です。専門の行政書士に会社設立のサポートを依頼することで対応できます。
任意で決まる費用
任意で決まる費用として下記の項目があります。こだわりによって、発生する初期費用は大きく異なります。少なくとも30万円近くの現金は用意しておくのが無難です。
- 法人印
- オフィス費用
- パソコン
- ホームページ制作
- 税理士顧問契約
なるべく費用を抑えたい方は、最も安い法人印を購入したり、バーチャルオフィスを活用しましょう。
会社設立支援サービスの活用や士業法人へ相談しよう

会社を設立するには、必要な書類を集めて登記申請書類を正確に作成しなければなりません。専門家でない限り、複雑な手続きを一人で行うのは難しいでしょう。
そのため、完全に一人で手続きを進める人は少ないのが現実です。一般的には。会社設立支援サービスを利用したり、設立に特化した専門の士業法人のサポートを受けます。
また、事業を行う上で税務や法務などの法律に関する手続きや問題にも対応する必要があります。士業法人の設立サポートを受けることで、会社設立後もトータルでサポートしてもらえます。
会社設立支援サービスと士業法人による会社設立サポートの特徴について見ていきましょう。
- 弥生の会社設立は知識のない人でも簡単に手続きができる
- 士業法人は設立手続きや作業をサポートしてくれる
どちらを利用するべきかは、会社の規模や重要視するポイントによって異なります。詳しく見ていきましょう。
弥生の会社設立は知識のない人でも簡単に手続きができる

最近は、会社設立支援サービスが充実しており知識のない方であっても簡単に会社設立手続きができるようになりました。freeeやマネーフォワードといったウェブサービスが人気を集めています。
例えば、弥生の会社設立は利用料金0円で利用できます。もちろん、定款費用や登録免許税は発生します。初心者でも分かりやすいガイドを見ながら、ひとつずつ書類を作っていくことで簡単に会社設立ができます。
複雑な資料もテンプレートが用意されているため、必要事項をひとつづつ入力するだけで登記申請書の作成が完了します。ご自身で法務局に申請をすることで完了です。
すでに契約を検討している会計ソフトがある方は、その会社設立サービスを利用してみるのがいいでしょう。
士業法人は設立手続きや作業をサポートしてくれる
会社設立のサポートを行うのは、行政書士、税理士、司法書士が一般的です。各士業の特徴を見ていきましょう。
行政書士
行政書士は、許認可手続きの支援も行うことができます。事業によっては許認可が必要なため、関わる機会の多い士業です。許認可の取得と会社設立のサポートを同時に依頼することができます。
特に、認可が必要な事業では、注意点が多いため知識が不十分だと法令違反になる可能性もあります。実績のある行政書士法人を選ぶことで、スムーズに事業を開始できるでしょう。
税理士
税理士は、会社運営に必要な税務顧問として関わることになります。会社設立時に、税務顧問契約を結ぶことで、設立サポートを無料または低額で受けられる場合があります。
司法書士
司法書士は登記の専門家であり、会社設立登記の申請代行を行います。
行政書士や税理士に会社設立のサポートを依頼した場合であっても、登記自体は繋がりのある司法書士に依頼しています。司法書士の名前はあまり知られていないかもしれませんが、もし知り合いに司法書士がいれば、依頼してみるのも良いでしょう。